最近ETC法人カードのご利用をいただいている組合員様から、外国人技能実習生や特定技能外国人の受入れ支援をしている関係上、「自社で外国人の受入れってできるの?」「自動車運送業で受入れるための条件はあるの?」「運転免許はどうするの?」など自動車運送での外国人受入れについて問い合わせをいただく機会が増えてきました。

直近では、特定技能外国人受入れに関して、自動車運送分野が特定技能の分野に追加されることが検討され、今後受入れを検討する企業様が増えて来ると思われます。
ここでは、自動車運送業分野における特定技能外国人受入れについて、ここでは詳しく説明していきます。

特定技能制度とは?

中小企業や小規模事業者を中心に、日本での人手不足が深刻な問題となっています。この問題は国の経済や社会基盤の持続可能性にも大きな影響を及ぼしつつあります。
生産性を向上させる取り組み、国内での人材確保に向けた取り組みを進めても、依然として必要な労働力を確保することが困難な状況が続いています。

特に生産性向上や労働力不足の問題が緊急に解決を要する産業分野において、専門的な技能を持ち、実務に貢献できる外国人労働者の受入れを可能にするために、「特定技能」制度が導入されました。この制度の目的は、外国人労働者を受入れ、経済の活性化を促進するとともに、社会基盤の持続可能性を支えることにあります。

自動車運送業が特定技能分野に追加される背景

自動車運送業では、労働力不足と時間外労働規制の見直しによる「2024年問題」が課題です。今後5年で約158万6,000人の労働者が必要ですが、約28万8,000人が不足すると見込まれています。有効求人倍率は令和4年度で2.61倍に達し、人手不足は深刻です。

この状況を踏まえ、官民連携での対策だけでは不十分であり、特定の専門性や技能を持つ外国人労働者の受入れが必要です。これにより、自動車運送業が特定技能に新規追加される見込みとなりました。

自動車運送業における受入れ見込み数

自動車運送業による特定技能外国人受入れ見込み数は最大で2万 4,500 人(令和 10 年度末までの5年間の受入れの上限)とされています。
これは今後5年間での人手不足推計28万8,000人について、今後5年間の労働環境整備等による追加的な国内人材の確保による12万1,000人、DX化の推進等による生産性向上のよる14万3,000人によっても不足する2万 4,500 人を上限として運用するものです。

<今後5年後の人手不足推計>

トラック運送業タクシー運送業バス運送業
5年後の人手不足推計19万9,000人程度6万7,000人程度2万2,000人程度
合計28万8,000人程度

<今後5年間の労働環境整備等による追加的な国内人材の確保>

トラック運送業タクシー運送業バス運送業
5年間の国内人材の確保5万6,000人程度4万8,000人程度1万7,000人程度
合計12 万 1,000 人程度

<DX化の推進等による生産性向上>

5年間で 14 万 3,000 人程度

自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針

特定技能所属機関の要件

自動車運送業で特定技能を受入れようとする際には、次の要件を満たすことが求められています。

  • 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること
  • 特定技能所属機関は、協議会に対し必要な協力を行うこと。
  • 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
  • 特定技能所属機関は、道路運送法(昭和 26 年法律第 183 号)第2条第2項に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法(平成元年法律第 82 号)第2条第8項に規定する第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営する者であること。
  • 特定技能所属機関は、一般財団法人日本海事協会(明治 32 年 11 月 15 日に帝国海事協会という名称で設置された法人をいう。)が実施する運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者又は全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第 83 号)第 43 条に規定する全国貨物自動車運送適正化事業実施機関をいう。)が認定する安全性優良事業所を有する者であること。
  • タクシー運送業及びバス運送業における特定技能所属機関は、特定技能1号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施すること。
  • 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、国土交通省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。

自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針

特定技能外国人が活動を行う事業所については日本標準産業分類に掲げる産業のうち、 次のいずれかに掲げるものを行っていることとされています。

  • 43  道路旅客運送業
  • 44  道路貨物運送業

日本標準産業分類とは

特定技能外国人の雇用形態

特定技能外国人の雇用形態は「直接雇用に限る」とされています。

特定技能外国人の要件や従事する業務

自動車運送業分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は定められた自動車運送業分野特定技能1号評価試験に合格した者し、さらにタクシー運送業及びバス運送業においては、試験に合格していることに加え、新任運転者研修を修了していることが求められています。

トラック運送業では第一種運転免許の取得が必須、タクシー運送業とバス運送業ではさらに第二種運転免許の取得が必須となっています。

<トラック運送業>

技能水準自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)及び第一種運転免許
日本語能力水準ア 国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)
イ そのほか、日本語教育の参照枠のA2相当以上の水準と認められるもの
業務事業用自動車(トラック)の運転、運転に付随する業務全般

<タクシー運送業>

技能水準自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)及び第二種運転免許
日本語能力水準ア 日本語能力試験(N3以上)
イ そのほか、日本語教育の参照枠のB1相当以上の水準と認められるもの
業務事業用自動車(トラック)の運転、運転に付随する業務全般

<バス運送業>

技能水準自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)及び第二種運転免許
日本語能力水準ア 日本語能力試験(N3以上
イ そのほか、日本語教育の参照枠のB1相当以上の水準と認められるもの
業務事業用自動車(バス)の運転、運転に付随する業務全般

自動車運送業における自動車運送業分野特定技能1号評価試験について

特定技能1号の在留資格を取得するためには自動車運送業における自動車運送業分野特定技能1号評価試験を受験し合格することが必要となっていますが、その評価試験は次のように実施が予定されています。

<自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)>

試験言語日本語
実施主体一般財団法人日本海事協会
実施方法学科試験及び実技試験(コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式)

<自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)>

試験言語日本語(第二種運転免許の学科試験に準拠した内容については現地語 を併記 )
実施主体一般財団法人日本海事協会
実施方法学科試験及び実技試験(コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式)

<自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)>

試験言語日本語(第二種運転免許の学科試験に準拠した内容については現地語 を併記 )
実施主体一般財団法人日本海事協会
実施方法学科試験及び実技試験(コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式)

自動車運送業分野特定技能1号評価試験について

日本語能力を評価する試験について

トラック運送業で特定技能外国人を受入れる場合には「国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)」または「日本語教育の参照枠のB1相当以上の水準と認められるもの」とされています。

タクシー運送業、バス運送業で特定技能外国人を受入れるには「日本語能力試験(N3以上)」または「日本語教育の参照枠のB1相当以上の水準と認められるもの」とされています。

<国際交流基金日本語基礎テスト>

実施主体独立行政法人国際交流基金
実施方法コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式

<日本語能力試験>

実施主体独立行政法人国際交流基金及び日本国際教育支援協会
実施方法マークシート方式

国際交流基金日本語基礎テストについて

日本語能力試験について

在留資格「特定活動」による入国・在留

特定技能外国人を自動車運送業で受入れる場合には、運転免許の取得や新任運転者研修の受講以外の要件を満たしている場合には、受入れ機関との雇用契約の下、在留資格「特定活動」による入国・在留が認められるとされています。

個別説明会

組合では、運送業の方で特定技能外国人受入れについて、ご関心をお持ちの企業様に、現時点での自動車運送分野での特定技能外国人受入れについてご案内をさせていただいておりますので、下記のようなご質問をお持ちの場合にはお気軽にご連絡ください。

終わりに

今後、特定技能外国人の受入れは徐々に進んでいくものと考えております。この記事が、特定技能外国人の受入れの際の一助となれば幸いです。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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