自動車整備職種が技能実習生受入れ可能職種に追加された背景

東南アジア諸国の急速な経済成長に伴い、所得が増加し、自動車需要が高まっています。道路整備や自動車販売台数の増加も相まって、自動車整備の重要性が増しています

しかし、整備体制や安全に関する知識はよりいっそう求められている状況です。日本では優れた整備技術と安全技術があり、東南アジア諸国はこれを取り入れて自国の整備技術を向上させたいと考えています。そのため、自動車整備を技能実習生の受け入れ対象に加えることで、東南アジア諸国の自動車整備に貢献することが期待されています。

自動車整備職種における技能実習生の作業の内容が定められています

道路運送車両法に基づく、日常点検整備、定期点検整備、特定整備、新規検査における整備、継続検査における整備、構造等変更検査における整備、一般整備の作業が自動車整備職種の作業として定義されています。
自動車整備職種の第1号技能実習、第2号技能実習の必須作業は次のように示されています。また、必須業務には安全衛生業務も含まれています。

第1号技能実習
(1)自動車整備作業

①自動車点検整備作業
i)各装置の車検、定期点検項目の良否判定及びそれに基づく整備の補助作業
1.ステアリング装置
2.ブレーキ装置
3.走行装置
4.サスペンション装置
5.動力伝達装置
6.電気装置
7.エンジン装置
8.排出ガス発散防止装置
9.附属装置の安全確保と衛生管理補助
第2号技能実習
(1)自動車整備作業

①自動車点検整備作業
i)各装置の車検、定期点検項目の良否判定及びそれに基づく整備作業
1.ステアリング装置
2.ブレーキ装置
3.走行装置
4.サスペンション装置
5.動力伝達装置
6.電気装置
7.エンジン装置
8.排出ガス発散防止装置
9.附属装置

②自動車特定整備作業
i)各装置の特定整備、各種テスター・測定機器類による各装置の複雑な良否判定
及びそれに基づく整備作業
1.ステアリング装置
2.ブレーキ装置
3.走行装置
4.サスペンション装置
5.動力伝達装置
6.エンジン装置
7.連結装置

自動車整備職種には下記のような業務は移行対象職種とはならず、技能実習生を受入れることはできません。

  • 自動車解体作業
  • 自動車製造工程作業       
  • 自動車板金塗装のみの作業
  • 自動車陸送作業
  • 関連業務及び周辺業務のみの場合

自動車整備職種の入国前または入国後の講習期間中の要件

技能実習生を受入れようとする場合、基準を満たした入国前講習、入国後講習を実施することが必要になります。
自動車整備職種で技能実習生を受入れようとする場合には、入国前講習期間中または入国後講習の期間中に、自動車整備作業に関する講習を国土交通大臣が指定する教材を使用して実施することが必要となっています。

自動車整備職種の自動車整備作業(以下単に「自動車整備作業」という。)に係る外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(以下「規則」という。)第十条第二項第八号に規定する告示で定める基準は、第一号技能実習に係るものである場合にあっては、入国後講習において、自動車整備作業に関する講習(国土交通大臣が指定する教材を使用して、自動車整備作業に関する基礎的な知識を修得させるものに限る。)を実施することとしていること(当該講習を同号ハに規定する入国前講習において受けた技能実習生に係るものである場合を除く。)とする。

自動車整備職種の技能実習指導員の要件

技能実習生を受入れる場合には、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員の選任が必要となっています。
技能実習指導員は、所属する事業所で技能実習を指導するための常勤の役職員であり、5年以上の経験を持つ人を任命する必要があります。自動車整備職種では、さらに一級または二級の自動車整備士の技能検定に合格した者、または三級の自動車技能検定に合格してから自動車整備作業に関する3年以上の実務経験を有する者を任命する必要があります。

  • 一級又は二級の自動車整備士の技能検定に合格した者
  • 三級の自動車整備士の技能検定に合格した日から自動車整備作業に関し三年以上の実務の経験を有する者

技能実習を行わせる事業所の要件

技能実習を行う際には、実習を受ける事業所に一定の要件が定められています。
具体的には、事業所が自動車分解整備事業の認証を受けた工場でなければならず、すべての事業所が自動車整備の技能実習生を受け入れることができるわけではありません。

技能実習を行わせる事業所が、道路運送車両法第七十八条第一項の規定に基づき地方運輸局長から自動車分解整備事業の認証(対象とする自動車の種類として二輪の小型自動車のみを指定されたもの及び対象とする業務の範囲を限定して行われたものを除く。)を受けた事業場であること。

自動車整備職種で技能実習生を受入れることのメリット

自動車の普及が急速に進んでいる東南アジア諸国から、自動車整備に従事している労働者を受入れることは、東南アジア諸国の自動車整備をよりいっそう高度なものにすることにつながります。
東南アジア諸国に進出している日本の自動車製造業にとっては日本で自動車整備に従事した労働者がいることは大きな強みにもなります。
また技能実習を修了した労働者がまた日本に特定技能として再来日する場合には彼らの長期的なキャリア構築のサポートにもつながることが期待されます。

より詳しく自動車整備での技能実習生受入れを知りたい、受入れに関心がある、受入れを検討中という場合には、担当者より詳しくお話しさせていただきますので、お気軽にご連絡ください。