日本の技能実習制度は、国際協力の枠組みとして、発展途上国の労働者に日本の技術や技能を伝え、母国の発展に活かすことを目的としている重要な制度です。

本記事では、この制度において中核的な役割を担う監理団体について技能実習制度における概要や「そもそも監理団体って何なの?」「監理団体は何をしてくれるの?」といった質問や重要性から「監理団体と登録支援機関って違うの?」といった箇所について解説させていただきます。

技能実習制度とは

技能実習制度は、主に発展途上国の青壮年労働者を、日本企業が技能実習生として受入れることで、OJTを通じて、日本がこれまでに培ってきた技術や知識を伝えることで、帰国後に母国での経済発展に貢献するための技術力を向上させることを目的としてる制度です。技能実習制度は、1993年に創設され、現在では職種や作業が拡大し、製造業、建設業、農業など、幅広いさまざまな産業での技能実習が可能となっています。

監理団体になることができる組織や団体について

監理団体として活動するためには、中小企業等協同組合や中小企業商工会など営利を目的としない非営利の組織や団体が、外国人技能実習制度を管轄する外国人技能実習機構に監理団体としての許可を申請し、法務大臣、厚生労働大臣より許可を取得することで監理団体として監理事業を行うことが可能になります。監理団体は、このように日本の外国人技能実習法に基づいた団体であり、その資格は一定の基準と条件を満たすことが求められています。

監理団体の種類

技能実習制度において、監理団体は大きく「一般監理団体」と「特定監理団体」に分けられます。一般監理団体として監理事業を行うには、より厳しい基準を満たしている求められています。

区分監理できる在留資格許可の有効期限
一般監理団体技能実習1号
技能実習2号
技能実習3号
5年または7年
特定監理団体技能実習1号
技能実習2号
3年または5年

監理団体の役割

監理団体の主な役割は技能実習生や実習実施者の適正な技能実習のサポートです。
具体的には、技能実習生が就労する際の労働条件の確認、適正な技能実習の実施の進行のサポート、緊急時のサポート等です。技能実習生が技術や技能を学ぶだけでなく、安全で健全な環境での生活を送れるようサポートすることも非常に重要な役割のひとつです。

技能実習制度における監理団体に求められる役割は多岐にわたりますが、具体的な役割について詳しく説明します。

外国の送出し機関との契約、求人・求職の取次ぎ

監理団体は、実習生を送り出す外国の機関との間で契約(協定書)を結び、技能実習生としての要件を満たしている技能実習生が選ばれるよう、技能実習生と実習実施企業との間で求人情報の確認や作成を行い送出し機関との連絡調整を行います。

具体的には、日本の建設会社がインドネシアから技能実習生受入れを検討している場合には、協定書を締結しているインドネシアの送り出し機関と協力して、監理団体は送出し機関に詳細な職務内容や求人票に基づき求人要件を連絡し、その要件を満たす候補者のリストを作成します。次に、監理団体は送出し機関と連携し、候補者が求人情報の条件に合致することを確認し、適切な候補者が選ばれるよう面接日程の調整、現地面接への同行手配を行い、場合によっては現地での面接をサポートします。

入国後講習の実施

技能実習生が日本に到着した際には、入国後講習実施施設で講習が行われます。この講習では、日本の文化、言語、法律、労働環境などに関する重要な情報が提供されます。入国後講習は、技能実習生が日本での生活にスムーズに適応できるよう支援し、日本の文化を理解し、日本で生活していく際のトラブルを未然に防ぐために行われています。

技能実習生は入国後講習施設で約1か月間講習を受講します。この期間中、日本語の基礎、日本の労働法規、職場でのマナーや健康管理について学びます。日本の文化や習慣についての講習も含まれ、例えば、日本特有の挨拶の仕方などを教わります。

この入国後講習は座学で行われ、実習生は講習期間中に労働を行うことはありません。入国後講習は、技能実習生が必要な知識と理解を深め、日本での生活に慣れていくための期間です。このようにして、技能実習生は日本での新しい生活を始める前に、十分な準備と適応の機会を得ることができます。

訪問指導

監理団体の担当者が、技能実習生が配属されている実習実施先企業を定期的に訪問し、実習生の職場環境や生活状況を確認します(第1号技能実習期間中)。訪問指導を通じて、技能実習生が抱え込みやすい問題を聞き取り、適切なアドバイスや指導を提供することで技能実習だけでなく、技能実習生の日本での生活への適応を支援します。

具体的には、監理団体の担当者がミャンマー出身の技能実習生が配属されている企業を定期的に訪問し、技能実習生とのコミュニケーションに不安を感じているというような場合には、この問題を通訳スタッフ、企業の担当者と共有し、技能実習生と面談を実施し「伝わっていること」「伝わっていないこと」を明確にし、伝わっていないことに関してはより、丁寧に伝えるようにすることをご案内いたします。この提案により、実習生とのコミュニケーションがよりスムーズになり、トラブル等の防止し、より充実した環境で働くことができるようになります。

また、監理団体は、訪問指導を行った際には、指導の内容を記録した訪問指導記録書を作成し、事業所に備え付けなければならず、この訪問指導の書類の写しは、事業報告書に添付し、年に1度機構の本部事務所の審査課に提出することが定められています。

監査業務(定期監査・臨時監査)

監理団体は、技能実習生が受け入れられている職場の労働条件や実習の状況を確認するために、定期的に監査担当者が訪問し監査を行います。

監理団体と登録支援機関の違いとは?

ところで「監理団体」と「登録支援機関」は外国人材を受入れる際によく登場する団体であり、「監理団体と登録支援機関は何が違うの?」というお問い合わせをよくいただきます。監理団体の中には、監理団体の中には登録支援機関としての活動も行っている団体もありますが、監理団体と登録支援機関はそれぞれの目的や関連する在留資格には大きな違いがあります。

制度名外国人技能実習制度特定技能外国人制度
関連する在留資格技能実習1号
技能実習2号
技能実習3号
特定技能1号
特定技能2号
制度の目的人材育成、国際貢献人手不足の解消
施行1993年2019年
在留期間技能実習1号:1年間
技能実習2号:2年間
技能実習3号:2年間
特定技能1号:5年間(通算)
特定技能2号:更新回数上限なし
監理団体有り(非営利の事業協同組合等)無し
支援機関無し登録支援機関
求人・採用の方法監理団体が海外送出し機関を通じて求人受入れ機関が直接海外で採用
国内外のあっせん機関を通じて採用

まとめ

技能実習制度は、監理団体が役割の中核を担っているといっても過言ではありません
監理団体は技能実習生に対して不可欠なサポートを提供し、その生活と技能実習を円滑に行うための重要な役割を担っています。
技能実習がスムーズに進むかどうかは、監理団体の適切な支援によって大きく左右されるため、監理団体の選択は非常に重要です。
この記事を通じて、技能実習制度の全体像と、監理団体の重要性、監理団体と登録支援機関との違いについてご理解いただけますと幸いです。