介護職種が技能実習生の職種に追加されました

日本は他の多くの国々と比較しても高齢化が特に進んでおり、この高齢化に伴い認知症を含む高齢者の数も増加しています。より専門的で多様な介護が必要とされるようになっています。日本の介護技術は、これらの複雑なニーズに対応するために高度に発展しており、国際的にも高く評価されています。

現在、世界中の多くの国々でも高齢化が進行しており、これらの国々は将来の介護の課題に直面しています。日本の先進的な介護技術を取り入れることにより、これらの国々は自国の高齢化社会に備えることができます。この背景から、介護職種が技能実習制度に追加されました。

これにより日本の介護技術を国際的に伝えるとともに、外国の介護人材を育成し、日本の国際貢献にも寄与することが期待されています。この制度を通じて、日本の介護技術が他国に広がり、グローバルな高齢化問題に対処する手助けとなることが期待されています。

技能実習生の主な要件

技能実習制度を利用して技能実習生を受入れようとする場合、主に次のように技能実習生の要件が定められています。

  • 18歳以上であること。
  • 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者であること。
  • 帰国後、修得等をした技能等を要する業務に従事することが予定されていること。
  • 団体監理型技能実習の場合にあっては、従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。
  • 団体監理型技能実習の場合にあっては、本国の公的機関から推薦を受けて技能実習を行おうとする者であること。
  • 同じ技能実習の段階に係る技能実習を過去に行ったことがないこと。

介護職種固有の技能実習生の要件

技能実習制度を利用して、介護職種において技能実習生を受入れようとする場合、技能実習生の要件を満たしていることに加え技能実習生の要件に加え次の要件が求められています。

  • 第1号技能実習(1年目):
    日本語能力試験のN4に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者であること。
  • 第2号技能実習(2年目):
    日本語能力試験のN3に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者であること。

実習実施者の主な要件

技能実習生を受入れる場合の主な要件の一つとしてとして、「技能実習責任者」「技能実習指導員」「生活指導員」の選任が必要です。
それぞれの就任の際の要件が定められており、要件を満たしていることが必要です。

技能実習責任者の選任

  • 実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員である者
  • 自己以外の技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関与する職員を 監督することができる立場にある者
  • 過去3年以内に技能実習責任者に対する講習(主務大臣が告示した養成講習機 関が実施する講習)を修了した者

技能実習指導員の選任

  • 実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員のうち、技能実習を行わせる事業所に所属する者
  • 修得等をさせようとする技能等について五年以上の経験を有する者

生活指導員の選任

  • 生活指導員は、技能実習生の生活の指導を担当するために、実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員のうち、技能実習を行わせる事業所に所属する者

介護職種の実習実施者の要件

介護職種において技能実習を行おうとする場合、介護職種固有の要件を満たす必要があります。
介護職種の主な要件が次のとおり定められています。

技能実習指導員

  • 技能実習指導員のうち1名以上は、介護福祉士の資格を有する者その他これと同等以上の専門的知識及び技術を有すると認められる者であること。
  • 技能実習生5名につき1名以上の技能実習指導員を選任していること。

技能実習を行わせる事業所の要件

  • 介護等の業務(利用者の居宅においてサービスを提供する業務を除く。)を行うものであること。
  • 技能実習を行わせる事業所が、開設後3年以上経過していること。
  • 技能実習を行う事業所における技能実習生の数 が一定数を超えないこと。

対象となる施設とは

【介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認める施設のうち、現行制度において存在するものについて、訪問介護等の訪問系サービスを対象外とした形で整理をしたもの 】

白:対象、緑:一部対象、灰色:対象外又は現行制度において存在しない。

児童福祉法関係の施設・事業
知的障害児施設
自閉症児施設
知的障害児通園施設
盲児施設
ろうあ児施設
難聴幼児通園施設
肢体不自由児施設
肢体不自由児通園施設
肢体不自由児療護施設
重症心身障害児施設
重症心身障害児(者)通園事業
肢体不自由児施設又は重症心身障害児施設の委託を受けた指定医療機関(国立高度専門医療研究センター及び独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関であって厚生労働大臣の指定するもの)
児童発達支援
放課後等デイサービス
障害児入所施設
児童発達支援センター
居宅訪問型児童発達支援
保育所等訪問支援
障害者総合支援法関係の施設・事業
短期入所
障害者支援施設
療養介護
生活介護
児童デイサービス
共同生活介護(ケアホーム)
共同生活援助(グループホーム)(外部サービス利用型を除く)
自立訓練
就労移行支援
就労継続支援
知的障害者援護施設(知的障害者更生施設・知的障害者授産施設・知的障害者通勤寮・知的障害者福祉工場)
身体障害者更生援護施設(身体障害者更生施設・身体障害者療護施設・身体障害者授産施設・身体障害者福祉工場)
福祉ホーム
身体障害者自立支援
日中一時支援
生活サポート
経過的デイサービス事業
訪問入浴サービス
地域活動支援センター
精神障害者社会復帰施設(精神障害者生活訓練施設・精神障害者授産施設・精神障害者福祉工場)
在宅重度障害者通所援護事業(日本身体障害者団体連合会から助成を受けている期間に限る)
知的障害者通所援護事業 (全日本手をつなぐ育成会から助成を受けている期間に限る)
居宅介護
重度訪問介護
行動援護
同行援護
移動支援事業
老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業
第1号通所事業
老人デイサービスセンター
指定通所介護
指定地域密着型通所介護(指定療養通所介護を含む)
指定認知症対応型通所介護
指定介護予防認知症対応型通所介護
老人短期入所施設
指定短期入所生活介護
指定介護予防短期入所生活介護
養護老人ホーム※1
特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)
軽費老人ホーム※1
ケアハウス※1
有料老人ホーム※1
指定小規模多機能型居宅介護※2
指定介護予防小規模多機能型居宅介護※2
指定看護小規模多機能型居宅介護※2
指定訪問入浴介護
指定介護予防訪問入浴介護
指定認知症対応型共同生活介護
指定介護予防認知症対応型共同生活介護
介護老人保健施設
介護医療院
指定通所リハビリテーション
指定介護予防通所リハビリテーション
指定短期入所療養介護
指定介護予防短期入所療養介護
指定特定施設入居者生活介護
指定介護予防特定施設入居者生活介護
指定地域密着型特定施設入居者生活介護
サービス付き高齢者向け住宅※3
第1号訪問事業
指定訪問介護
指定介護予防訪問介護
指定夜間対応型訪問介護
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護
指定訪問看護
指定介護予防訪問看護
訪問看護事業
生活保護法関係の施設
救護施設
更生施設
その他の社会福祉施設等
地域福祉センター
隣保館デイサービス事業
独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
ハンセン病療養所
原子爆弾被爆者養護ホーム
原子爆弾被爆者デイサービス事業
原子爆弾被爆者ショートステイ事業
労災特別介護施設
原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業
家政婦紹介所(個人の家庭において、介護等の業務を行なう場合に限る)
病院又は診療所
病院
診療所
  • ※1 特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護を除く。)、介護予防特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型介護予防特定施設入居者生活介護を除く。)、地域密着型特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型地域密着型特定施設入居者生活介護を除く。)を行う施設を対象とする。
  • ※2 訪問系サービスに従事することは除く。
  • ※3 有料老人ホームに該当する場合は、有料老人ホームとして要件を満たす施設を対象とする。

介護職種の入国後講習の要件

技能実習生を受入れる際の入国前講習・入国後講習は、介護職種においては次のような要件が定められています。

介護においては、基本的には、技能実習制度本体の仕組みによるが、日本語と介護導入 講習 については、以下の内容によることとする。(入国前講習を行った場合には、内容に応じて時間数を省略できる。)

介護においては、基本的には、技能実習制度本体の仕組みによるが、日本語と介護導入 講習 については、以下の内容によることとする。(入国前講習を行った場合には、内容に応じて時間数を省略できる。)

講習内容
科目※時間数
日本語【 詳細は① 】240
介護導入講習 【 詳細は② 】42
法的保護等に必要な情報8
生活一般-
総時間数320

(1) 技能 実習制度本体上定められているもの。
総時間数については、第1号技能実習の予定時間全体の1 6(入国前講習を受けた場合は1/12 )以上とされている。 320 時間については目安として記載。)

①日本語
教育内容時間数※2
総合日本語100(90)
聴解20(18)
読解13(11)
文字27(24)
発音7(6)
会話27(24)
作文6(5)
介護の日本語40(36)
合計240

※2日本語科目の各教育内容の時間数については上記を標準として、設定。()内に記載した時間数が最低限の時間数として求められる。

②介護導入講習
教育内容時間数※2
介護の基本Ⅰ・Ⅱ6
コミュニケーション技術6
移動の介護6
食事の介護6
排泄の介護6
衣服の着脱の介護6
入浴・身体の清潔の介護6
合計42

N3程度以上を有する技能実習生については、①日本語のうちの「発音」「会話」「作文」「介護の日本語」について 合計で 80時間以上の受講を要件とする。各教育内容の時間数については、上記と同様。

介護職種の技能実習生の人数枠

介護職種においては通常の技能人数枠とは異なる人数枠が設けられています。

受け入れることができる技能実習生は、事業所単位で、介護等を主たる業務として行う常勤職員(常勤介護職員)の総数に応じて設定 (常勤介護職員の総数が上限 した数を超えることができない。

事業所の常勤介護職員の総数一般の実習実施者優良な実習実施者
1号全体 (1・2号)1号全体 (1・2・3号)
11111
21222
3から101323から10
11から2026411から20
21から3039621から30
31から40412831から40
41から505151041から50
51から716181251から71
72から1006181272
101から119103020101から119
120から200103020120
201から300154530180
301~常勤介護職員の20分の1常勤介護職員の20分の3常勤介護職員の10分の1常勤介護職員の5分の3

常勤職員数には通常の技能実習生の人数枠に技能実習生の人数が含まれていないのと同様に、介護職種においても常勤職員数には技能実習生は含みません。

介護職種の技能実習生の要件詳細について